高速バス会社のDX特集!業務効率向上と会社の見える化を実現【ベイラインエクスプレス株式会社】

DX化が遅れていると思われている高速バス事業。社員が会社にいるのは30分ほどのようです。

社員がいない会社でいったいどんなDX化ができるのか。高速バス事業という一見DX化が難しそうな領域。

そんな中、社員を見える化して、他のバス会社と「安全面」ですでに差をつけている企業がありました。

今回は、ピンク色のバスで有名な「WILLER EXPRESS」のブランドのもと、お客様を夜行バスで全国各地へお届けし、「健康経営」としても有名なベインエクスプレス株式会社様にインタビューを行いました。

インタビューを行い、他のバス会社よりも確実に「安全」と納得できる、そんな取り組みをしていらっしゃいました!

目次

インタビュー先情報

会社情報

高速路線バス事業を展開しているベイラインエクスプレス株式会社ピンク色のバスで有名な「WILLER EXPRESS」のブランドのもと、お客様を夜行バスで全国各地へお届けしている。

一番遠いところでは島根や、出雲大社などへ850キロほど走行。最も近くでは、名古屋へのバスを運行している。

現在、社員は運転手29名、内勤者合わせ41名規模の会社である。バス会社の中でも健康経営として有名である。

インタビュー者:代表取締役 森川孝司様

WILLER EXPRESSとの合弁会社として設立されたベイラインエクスプレス株式会社に移り、その後、同社の代表取締役に就任。2年前から本格的に会社のDX促進に力を入れています。

森川氏はインタビューで「うちのバスは他のバス会社よりも安全と自信をもって言える」とおっしゃっていました。

他にも「オフィス内へのフィットネスルームの設置」などバス会社業界ではめずらしい、健康経営に取り組んでいます。

業界に変革をもたらす経営を実践し、「この安全への取り組み活動をもっと広めていきたい」とおっしゃっていて、高速バス業界に革命をもたらしていきたいという強い思いを感じました。

導入事例

会計ソフトfreee

導入背景

最初はJDLとかいろんな会計ソフトを使ってたんですけど、やっぱりPCにインストールをしないといけない状態だったんですね。

freeeであればネット環境が整っていればどこでも確認ができるという点や、操作性が良かった点、自動経理・自動仕分けを覚えてもらって、この金額のここの引き落とし先だったら、この項目ですっていうのを自動に仕分けしてくれるようになっていたので、口数が減るなという形で導入しました。

使用方法

今は、人事労務freeeとも連携しました。前までは、会計freeeだけで、給与計算は違うソフトでやって、会計の仕分けは別でやるという形でした。しかし、今回人事労務freeeを導入して、給与計算すると会計freeeと連動するので、給与の仕分けをする必要が無くなりました。

課題達成

前までだったら、会計ソフト+エクセルの表を使いながら、過不足ないかとか、入力漏れがないかとかやっていましたけど、そういった業務がなくなりました。一発で可視化されて、グラフ上にも出るので、すごく分かりやすくなりました。自分で仕分けを打っておきながらさらにexcelまで作っていたので、この手間がなくなりました。

良かった点

とにかく工数が削減されてるって言うのと、今までは銀行振込の未払金一覧とかも会計ソフト見ながらExcel作って、そのExcelを見ながら銀行の振込をネットバンキングで打ち込んでいました。2回手打ちがあるので、ミスする可能性があった。それが、会計freeeで打ったものがそのままCSVで吐き出されてネットバンキングで読み込まれるようになり、ミスがなくなった。2回転記する必要もなくなったという点です。

悪かった点

特に今のところないですね。

人事労務freee

導入背景

結構ネガティブな理由ですけど、今回のコロナで結構な退職者が出たんですけど、退職者に対して離職票発行するとか、労務周りの作業って結構労力が高くてですね、保存してないと結局手で書かないといけない。

過去1年間分の総支給の金額とかを一人一人書かなきゃいけない作業があるんですけども、人事労務freeeだとクリックひとつで過去の給料を全部引っ張ってきますし、本当にクリックひとつで作成できてしまうんですね。

あとは、給与計算を外注に出していたんですけど、紙ベースでの給与明細にしていたので、うちの場合ですと一泊二日の勤務とかありますから、事務所に帰ってこないと給与明細が分からない状況だったんです。

そういったのも改善したいなと思って、メールで給与明細を配信したり、出勤後とかも社員全員が自分の分はすぐ確認できるようにしたかったということですね。

使用方法

一番親和性高いのは会計freeeなので、給与確定したら自動で入力されたり、給与の支払いが終われば、未払い金の消しこみができたりなど、そこら辺は全て自動化できて親和性高いかなと思います。

運転手さんの給料はデジタコって言って、バスに取り付けてる機器から全部抽出しています。そこの読み取りとかも連携させてやっています。

課題達成

現在、移行期間中で2月10日の給与からなので、まだわからないです。

良かった点

前までは外注に出していたので、期日の制限というのは、結構タイトだったんですね。給与振り込みが10日なんですけど、末締めの翌3日までぐらいまでに給与決定を確定させなきゃいけなかったんです。

今回給与計算を内製化することで、振り込みも8日とかまで時間の制限がちょっと撤廃されるということと、給料明細も届いて、色々してたんでそういった時間もなくなるかなと思います。

悪かった点

初期導入が、めちゃくちゃハードで基本データを全社員分取り込まなきゃいけないのがかなりきつかったです。

気になる会計freeeとの連携効果は?

工数が減るので、今までやっていたものがなくなります。ずっと人事労務freeeもどうですかと言われていてたんですけど、何となく給与計算のやり方が、運転手さんの走った分だけの手当てがあったりとか、好き好き違うんでできないんだろうなと先入観で思っていたのですが、できるということで良かったです。

HR Brain

導入背景

僕らもいろいろ賃金体系いじってて、やったらやった分だけその人にお金を配りたいないうのがもともと根幹にありました。

ただ、なかなか難しい部分で、人が人を評価するって言うのが難しくて、かつ運転さんは外に出てますので一緒にいないんで分からないいうところも結構ハードル高くて、諦めていたんですけど、ちょっとやろうと言った時に、最初はExcelでこれも集計しながらやって、みんなで会議で集まって、この人は何点だねってすり合わせを行って、そういうのを2回繰り返したらもう挫折しました。

もう中継とか記録とか保存がもう大変なことになっていました。その時サービスを探してて、HR Brainが結構自分でカスタマイズ効いて、もともとやっていた点数方式とすごく親和性が高く、移行しやすいんじゃないかなと思い移行しました。

ベイラインエクスプレス株式会社では、会社にいる時間は点呼するときぐらいのため、30~60分ほどしかない。その中で評価して、基本給の昇給までチャレンジするというのはかなり手間がかかってしまうため、サービスを使うことに決めました。

使用方法

昨年はほとんど休業してるような状態だったんで一応一年に4回自己評価のサイクルでの予定だったんですが、1回のみで終わってしまったというのが、現状です。

HR Brainだと、その日内の全社員の分布は分かるんですね。

ただ、その人がどう推移しているのかっていうのはわからないんですね。

なので、項目ごとに点数を振っているのですけど、その項目ごとの点数をSalesforceの方で集計して、個人の記録として一旦保存・保管するっていうところまでしか今はやれていないという状態です。

課題達成

前のExcelの紙の時は、全社員分を管理職とリーダーが集まって、この人はこの項目何点です。という形ですり合わせしていたんですけど、一日かけて10数人の大人が集まって、あーじゃないこうじゃないという感じでやっていました。

今は、自分のスマホなどで自己評価を期限内にやってもらって、期限内には評価を決定する。基本的には、合って集合する時間がなくなりました。

良かった点

まだ現実として紐づいてないので、なかなか評価が難しいですね。明らかに記録しやすくなって保存しやすくなってますけど、運用がまだ一回使っただけですのであまり評価できないですね。

悪かった点

こうしたいあーしたいっていう評価のその枠組みってのは結構カスタマイズができたので、特に問題ないんですけどそれ以外の評価する人のスキルだったりとかっていうのは、やっぱりだんだん顕在化してしまっている気がしている。

そこら辺はやっていきたいなと思っています。まあHR Brainとはあまり関係ないんですけど、そういうのが炙り出されています。

TUNAG

導入背景

緊急事態宣言が出てから2ヶ月間ぐらいはまるきり事務所閉めて、休業してるような状態だったので、社員がどういう状況だったのかや、会社がどのように動いているかとかが社員はわからない状況だったので、トップメッセージの発信であったり、社員同士のコミュニケーションとして使用したいと思いました。

半年以上会社に出社してない人も、もちろんいましたので、どのように会社が動いているのかを伝える必要があったので、そういったツールを探しているときにTUNAGを導入したという形です。

使用方法

基本的にサービスと連動ってのは、ないかもしれないです。

社員に投稿してもらったり、あとはコミュニケーションを重視してるんで、それで何かを発信してもらった場合には社内ポイントが付くような仕組みにして、ポイントによってアマゾンギフトカードと交換できるなどといったことをやったりしていました。

週一回、メッセージ発信してもらったり、運行している人は日報を投稿してもらっていますね。

運行の振り返りを投稿してもらってこういう運行していたんだなって言うのを全社員に共有していました。

課題達成

伝わっているなと思ってても伝わってないことっていっぱいあったなと思って、例えば僕であれば幹部に伝えていれば伝わったなと思っていたかもしれないですし、そういったものを直接発信する場を踏み出せたところと、あとは逆もそうで、どのような気持ちで働いているか、仕事観みたいなところが共有できるようになりました。

良かった点

じゃあやろうといったときに、ぱっとやる人が可視化されたっていう感じですかね。

やっぱり新しいことに対して、やるやらない、腰が重い軽いとかまだまだそれぞれあるんですけど、そんなのも分かるようになったなということと、裏の部分ではどの投稿に興味があるのかとか、そういったのもわかります。

離職というキーワードになると、なかなかログインしないとか、会社の情報からちょっと離れたいとかそういったことが出てくるので、そういったときにサポートできるような仕組みを作っています。そういう人は、休業している人とリンクしているので、そういう人をどうしていこうかというときに、活用できるのではないかなと思います。

悪かった点

オープンになりすぎる。例えばこんなコロナの事態なので、なるべく、会社の動向は即オープンにしようとは思っているのですけど、そういったところで悩んだりしましたね。

Motion Board

導入背景

僕たちの特徴としてはですね、バスにどの会社もやっていないような、前の車との時間を測る装置がついているんです。

車間距離って詰めると危険ですので、そういう不安全データというのを常にアラート鳴らしながら集計しているんですけど、自動的にその日の運行の不安全データはSalesforce上で集計されていくんですけど、グラフに表現したりするのをCSVで吐き出したものをExcelで加工してグラフにしてみたりしていたんですね。

まぁそれだけが仕事になっちゃうので、それを自動化したいという感じでしたね。どの人がどの期間中に不安全アラートが多いのかとか、どの人なのかなどいろんな切り口で表現できます。

使用方法

連携としては、Salesforceですね。

連携しているところと、使う場所としては運転が帰ってきた時に振り返りとして一緒に見ながらとか、運行管理者が見ながら、ここでこうだったね、あーだったねという話をしています。

不安全データなので、管理者も動画をチェックしていますので、こここうだったねと言った一歩踏み込んだ話ができています。

課題達成

今までは、そもそも不安全データすら出ない状態ですね。

どの会社も多分今そうだと思いますけど、出て、急減速だとかその程度だと思います。急減速も不安全データですので、そういったのをちゃんと動画で確認する会社であるという、みんなの共通認識ができているのではないかなと思います。

こんな事をしないバス会社なんていくらでもいますので、そこよりは必ず安全ですね。日々運行で振り返って、自分に投げかけるというのをTUNAGに展開してもらったりというのを今地道に繰り返しやっている状況です。

前までだったら、安全の事を聞かれてごにょごにょしちゃっていました(笑)。今は自信をもって安全ですと言い切れますね。

良かった点

感覚でこので運転手さんいい人だなと思ってた人が、そうじゃないアラートが出たりとか、凄くさっきも言いましたけど、10分とか1時間ぐらいの節点だけで、評価してたんだなというところが、新たな発見でしたね。ただ、一方で見たくないものも見ないといけないというところもありますし、そこら辺とどう向き合っていくかですね。

悪かった点

とくになにもないです。

Salesforce

導入背景

もともとSalesforceだけは創業時の8年前ぐらいからもう導入はしていたんですけど、本当に運営業界って監査が厳しくてですね、書類一つなかったりはんこが無かっただけでバスを止められてしまうような厳しい監査があります。

必ず入ると必ず何かしらが出てしまうような状態だったのでSalesforceは顧客管理システムですけど、顧客の部分を運転手に置き換えて、健康だったり教育の資料だったり漏れなく添付させる。全部紐づけるというものをやろうと思って導入しました。

使用方法

勤怠も運転手の場合はバスに蓄積されてるドライブレコーダーやデジタルタコメータを使って、勤怠のデータを吸い上げたり自動連携させたりとか、あとは不安全データも毎日集計をする。

また、教育だったり健康の記録であったり、あとは事故ですね。そういったものが全て紐づいてる状態を作っています。バスの運転手さんは月間で何時間拘束できる、何時間までしか拘束できないと言ったものが、だんだん減っていくようなグラフがダッシュボードで可視化されるような状態を作っています。

期日が迫ってきてあの人がもう何時間もないというときは、勤務を外さなければいけないと言ったものも管理できるようになっています。

課題達成

前まではもう本当にいちかばちかだったんで、その拘束時間が超える超えないとかも結構タイムラグがありました。給与計算の人が打ち込んだ時に拘束時間がばーとでて、超えてましたということが多々起きていました。これをリアルタイムで集計するということは業界では必須なのではないかなと思います。

良かった点

使い方とかだったら例えば事故が起きたといった、個人の過去の事故歴はどうだったかなとか、直近の勤怠どうかなとか、直近の健康診断どうだったかなっていうのが、どこにいても見れるという初期の対応・スピード感は、重大事故しないのが一番ですけど、重大事故をしてしまったときに、知りませんでしたというのがないっていうのが良い点かなと思います。

悪かった点

特にないです。

気になった点についてご質問させて頂きました!

Q.DX化しようと決めた際に、どの分野から始めましたか?また、なぜその分野を一番最初に取り組んだのでしょうか?

一番は、会計・人事労務周りていうのをやりたいなという意識がすごく強かったです。

理由は、私が前に働いてた会社では、自分が経理業務などを行っていて、本当にめんどくさいなというのを自分が体験していたので、そこの手間をなくしたいなというところが強かったですね。

あとは、もっと運行管理に注力して欲しいなという思いがあり、そろえなければいけないものや集計しなければいけないものは、なるべく自動化したいなというところがありました。

Q.社員からの反発や業務への影響などは何かありましたでしょうか?

それはめちゃくちゃあります。特に一番苦しかったのは運転手さんのリアルタイムな不安全データを取得しますと言ったときにはかなりありましたし、それが安全かどうかもわからない。といったところ。

本当に大きいバス会社だと、ドライブレコーダーのチェックすらできないという会社もあるんですね。そもそも勤務時間内ですし、社員の挙動を確認するのは上長の務めだと思っております。

そこら辺は、僕らの規模だからできるのではないかなと思います。大手のバス会社さんに僕らの取り組みを伝えるときに、「よくドライブレコーダー取り入れますね」と言われるのですが、うちの運転手さんはそこを受け入れてくれるということですね。しかしながら、そこが一番苦しみましたね。

Q.今後、どのような領域のDX化に取り組んでいきたいですか?

リアルタイムでバスがどのように動いてるかっていうところを、管理しながら運行する会社がほとんどいないので、このことを突き詰めていくことと、発信をしていかなければいけないなと思います。

あと、お客様にそれが安全だというのを感じて欲しいなと思います。なるべく積極的にいろんなところで、こういう取り組みをしているということを発信していきたいなと思います。

最後にDX化に取り組もうと考えている方にアドバイスを一言お願いします!

やってみないとわからないということもあります。

まずは、マネをしてみるとか、より良い製品があるんであればそれを使ってみる。それって意思決定する社長自らやるのが一番早いのではないかなと思っています。

現場に任せてしまうと、なかなか進まないので本気でやるのであれば意思決定者がやるということが成功の秘訣じゃないかなと思っています。

DX化によってブランドが生まれる

今回、取材をさせて頂いて、一番すごいなと感じたことは今まであやふやであった「安全」を明確に堂々と言えることでした。

確かに、どこのバス会社が安全なのかわからない。なぜ安全なのかを聞いた際に、しっかりとした理由をもって説明できる企業は少ないと思います。

そこに社員を見える化したり、運行状況の可視化などのDX化を図ることで、「安全です」と堂々と言え、顧客からも確実に納得されるなと感じました。他社との比較でこれだけ明確に答えられたら絶対に勝てるのではないかなと思います。

これは、DX化によってブランドをも作ることができるのではないかなと思いました。業務効率化はもちろんですが、ブランド形成のためにDX化をしていく時代がくるかもしれないですね。もちろん業務効率は上がっているのですから、むしろいいことだらけではないかなと感じました。

この記事に登場したSaaS

会計ソフトfreee

会計ツールシェアNo.1を獲得している会計freee。連携サービスが多いことでも有名。

人事労務ソフトfreee

人事労務ツールでシェアNo.1を獲得。連携サービスが充実していることはもちろん、本記事でも紹介した通り会計freeeとの親和性がとても高く同時に使うとかなり便利である。

HR Brain

人事評価から人材データ活用、タレントマネジメントまで。カンタン・シンプルに戦略的な人事を実現。

Motion Board

データを集約、可視化し、アクションにつなげることができるBIダッシュボード。

Salesforce

顧客関係管理ソリューションを中心としたクラウドコンピューティングサービス。プラットフォームに統合された製品が、マーケティング、営業、コマース、サービス、ITなどのビジネスを強化します。

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