最近流行りのクラウド型SaaS。DX化をしたいと思った際に導入をまず検討するのはクラウド型SaaSではないかと思います。
業務プロセス削減や、打ちミス防止、社内をもっとオープンにしたいなど、導入における理由は様々です。
今回は、コミュニケーションツール、バックオフィス周りを中心にDX化に取り組んでいる株式会社エヌ・アイ・プランニング様にインタビューをしました。
導入背景や、実際の使い方、どのような成果があったのかなどお聞きしました。
インタビュー先情報
会社情報
- 株式会社エヌ・アイ・プランニング
- HP:https://www.niplanning.jp/
奈良に関わるすべての人たちに、情報とコトづくりを通じて、暮らしにワクワクと豊かさを一緒に生み出すローカルコミュニケーション企業。
奈良の子育て情報誌「ぱ~ぷるmama」、奈良フードフェスティバル「C’festa(シェフェスタ)」のイベント運営など、ローカルコミュニケーションに特化した事業展開をしています。
導入事例
Chatwork
導入背景
もともと弊社でコミュニケーションツールは使ってたんですけども、コミュニケーションツールがメールやLine、Messengerのようなプライベートアカウントをビジネスでも使っていました。
情報漏洩の観点などの問題や、当時事業部が4拠点に分かれていて、それぞれコミュニケーションを円滑にすることで業務の生産性を上げられるんじゃないか、という過程のもとビジネスチャットを導入しました。
プライベートアカウントとビジネスアカウントをしっかり分けることで、それぞれの拠点でタスクの共有であったり、情報の共有ができるんので、より生産性が上がるのではないかという背景から導入することにしました。
もちろん他のツールも検討しました。具体的に言うとSlackやTeamsなどですね。検討した結果、ヒアリングも行いました。
どのツールを使用するのが会社にフィットするのかというアンケートを行いました。そこで判明したのが、Chatworkのフリープランをもう既に使用しているスタッフが多くて、そこが1点目。
2点目はコストです。キャンペーン中ということもあって、Chatworkさんが比較的安かったです。3点目は互換性です。Slackとかはもともと日本のものではないので、イレギュラーがあったりだとか情報漏洩の観点から、Chatworkさんがいいんじゃないかということで、この三つの観点を総合的に判断してChatworkを導入したという背景があります。
使用方法
ビジネスチャットとして使っています。結果としては、コロナウィルスがあったことで、よりテレワークを導入しないといけないという状況もあり、導入しやすかった。
さらに導入した後、チャットツールを使わざるを得なくなったというところも後押しとしてはあったと思ってます。
課題達成
拠点がいくつかあったことで、組織がピラミッドみたいな感じになってまして、社長に仰っていただいた事がその次の階層の人に共有されて、またその次の階層に共有されてのようになフローになっていましたが、伝言ゲームみたいな形で言葉が少しずつ変わっていき、社長の言葉がAだったのがA’からBになり、最後には分からなくなるみたいなところがあった。
Chatwork導入することで1個の情報に対して全員が平等にアクセスできるようになったという意味では良かったなと思います。
あと、コロナの影響も本来だったらChatworkがなかったら更に影響受けていたのではないかなと思います。
どこの拠点にいても誰がどういうことをしていても、円滑にコミュニケーションが取れますし、緊急の案件があったとしても誰とでも連絡ができるような状況にすることができたので、導入して良かったなと思ってます。
経理部門では、資料を使って財務情報であるとかその部分にとって必要な情報だすときに、特に数字関係っていうのは人の口を通してしまうと徐々に違う情報になっていってしまったり、あるいは誰かのフィルターを通すことで、必要な情報が通らないのとかですね、そういうことが結構往々にしてあります。
管理職・リーダー職というところについては、そこの部分が弊害になってきてメンバーがついてこないであるとか、社長の言ったことを伝えるのに噛み砕いて正しく伝えるみたいな、なんかそこのステップって意外と面倒でしたね。
メールとか掲示とかでやると、やっぱりやりづらい部分があるのをChatworkだと社長が一通送ってきたやつを、必要箇所を引用してそのまま投げられるので誰が発生したどのような情報を、そのまま取り出して渡せるというところは素晴らしいメリットだなと思いました。
良かった点
社長の言葉や、管理職の言葉が直接伝わるようになり、弊害が減ったということと、誰がどこにいても円骨なコミュニケーションが取れることです。
悪かった点
特にないです。
マネーフォワード
導入背景
マネーフォワードは2,3年くらい前に、当社の「バックオフィス改革をやりたい」という話があったそうで、その時に総務にいた部門の担当が以前お世話になっていたコンサルタントと一緒に運用したことがあるというので、そのコンサルタントごと契約をしてマネーフォワードの導入をしたっていう背景があります。
導入背景というとそこまで分からないんですけど、社長が経理的な会計の数字を会計事務所任せではなくて社内で把握をもうちょっと進めたいという意欲だったようですね。
内部管理をどうやって進めていこうというところで、この人に頼んでマネーフォワードを使ったら出来るらしいみたいなとこで入れたのがスタートですね。
当時、経費精算は全部現金で行っていたみたいです。みんな領収書持って経理のところに行って現金に換えるっていう作業。
拠点が複数あるので、経費精算するためだけに経費使ってくるんですよ。それってもったいないっていうのと、払った払ってないがわからなくなるということもあります。
現金取引がまだまだ続いている会社なので、今もまだちょっとその名残はあるんですけど、まずはそこを整理しようかということで、デジタルに変更するためにまず一歩やってみているという状況ですね。勤怠もタイムカードでやってたんですよ。
でも、それを結局また手打ちで計算してできるように反映させるみたいな感じで、でも手打ちでやる方がミスする可能性も高いですからね。
そこに結構な時間かけてたというのもあるので、全部システムをうまく使いながら余った時間で人は別の新しい情報をつかみに行ったり、新しいサービスの方に労力をかけるみたいな方にシフトしようっていうのがあったんだと思います。
それを実際に運用して落とし込んで使いやすくするとかっていうのは、我々で今回させてもらってる感じです。
使用方法
私は幸甚っていう感じで、経理関係も全部まとめてもう1回見直しをしたいって言うタイミングで採用されて入ってきてるメンバーですけど、その時にはもうマネーフォワードシリーズの導入はされていて、経費精算などは基本的にそれなりに動いてる状態だったんです。
実際にきちんと動かしたのは、そののち私がマネーフォワードを全部組み直して入れ直しているんです。
その時に部門別会計や、予算を別で組んでの予実管理などそういう事を出来るように全部体型を変更して、会計事務所との連携っていうのは別ソフト使いながら行い、でも現場ではマネーフォワードが使えるみたいな形の2本立てでやっています。
課題達成
給与勤怠関係で言うと、給料の計算ですね。
ここら辺が全部システムになったので、以前であれば全部マンパワーで3日、4日ぐらいで行っていたものが全部ワンクリックで終わるようになったので、現場の承認許とか、担当はチェックしてボタン押すだけという形になってるので、一時間もあればチェックも含めて終わります。
そして、限りなくミスがない状態に変わりましたね。経費精算に関しては、今まで承認フロー自体が外れてしまっていたと思います。
というのは、現金の精算で領収書持ってきてもらってお金払ってという形でやっていたので、その経費が誰の承認を得ていたのかは、たぶん誰もわからなかったので、会計情報としてもすごく不足がある情報がたくさんあったと思うんですね。
ここら辺を仕分け日まで全部反映させる形でシステムに入力してもらうようになりました。
ですので、各個人の作業時間で言うと、経費精算を申請する側は入れないといけない情報が増えてるのでおそらく増えてます。
ただ3日程度で、経理が最終承認するところまでは終わります。
会計では、これをやる前は会計事務所にすごくアナログなのですが、会計伝票があって、そこに判子で費用いくらで銀行でいくらみたいな感じで押して、会計事務所が自分とこの都合のいいシステムにそれを打ち込んで管理をするみたいなやり方でやっていました。
なおかつそれは費用の入出金で全部完了していたので、発生主義ではなくて、経営者が欲しい数字が取れないやり方かつ自分の自社内で完結しないっていう状況でした。
その業務をやってる経理が一人張り付きでいるような状態でやってましたっての過去ですね。
だから会計事務所も経営者も経理担当もいったい何をするのにどれだけお金がかかっているかというのは、決算書の一番最後の数字しかわかんないというブラックボックス運営でした。
マネーフォワードシリーズを導入して、管理会計が分かる人間ってことで私が入っているのですけど、その段階で部門分けなどを全部やってリアルタイムで発生主義に切り替えができるようになったので、皆さんのところから上がってきたその経費の情報とか、給与のシステムで上がってきてる情報なんかを全部マネーフォワード会計に連携させて、自動で仕分けを流してます。
入出金に関しても今まで本当にアナログで通帳を記帳したり、あと銀行のシステムにわざわざ入っていって取っていた情報などを全部マネーフォワードで取れるようになりました。
あるいは、支払いなんかもエクセルで一生懸命打ち込んでそれを承認してもらったあと、もう1回銀行のシステムで打ち込んだりしていたものをマネーフォワードに仕分けデータを入れると、同時に全部データ化ができるようになりました。
それをFBデータと言って、銀行に直接送れるデータ形式で出力させてオンラインでいれるだけみたいな体制に変えています。
時間数としては、中堅どころの経理要員が一か月残業ベースで50~60時間とか残業してたんですね。私の場合は、残業全くなしでリモートもありという形での対応で行っています。
月次の決算を翌月に10個ぐらいの部門の情報を、限りなくリアルタイムに近い状態で反映しています。
残業時間の60時間を削減したということと、情報量は3倍で、行っている作業量は1/3を実現しました。
なおかつマネーフォワードを使うことによって、いろんなこと標準化できるようになったので、今まで正社員がやってた仕事っていうのも振り分けて契約社員さんに任せるようにしています。
ですので、私はお金の情報が出たところから分析をして、社長にこれは良くないのではないですかみたいな話をするとかになっています。
そして、会計事務所の方はマネーフォワードって実は好きじゃないんですね。これってどこの会計事務所もたぶんそうなんですけど、申告するのにあんまりシステムとして賢くなくて、ユーザーフレンドリーなんですけど確定申告を最終的にやるよみたいな決算が不要っていうところまではちょっと弱いんです。
ですので、会計事務所の方には旧来からあるような具体的に言うと弥生会計なんですけど、それはそのまま使っといてもらって、そこにマネーフォワードのデータを定期的に抜いて、インポートして向こうで使ってもらうみたいな形で使っています。
良かった点
今まで事業部の部長が今まで一生懸命エクセルに入力していたデータが、全部会計情報で出てしまうので、事業部の部長にいったら数字のエラーを起こさせないという点ですね。
クリエイティブな会計やりますので(笑)隠そうと思ったら隠せるし、ごまかそうとすればできてしまう状況だったので、社長はめくらになってしまうんですね。
それを透明度上げて、公正な数字を出すことによって、社長の判断が鈍らないようにする、という本来の関係の仕事にはすごく寄与してくれていて、なおかつコストが本当にかからないので今回これは大きい収穫だったなと思います。
悪かった点
確定申告周りの決算にちょっと弱いところです。
Touch On Time
導入背景
導入当時、スタッフがアルバイトさん含めすごく多かったんです。一人一人タイムカード切って、そのタイムカードを集めて手で計算してというのをずっとやってたんですね。
計算機打つのにもう何時間もかかってたと思うんですけど、それを削減したいっていう背景と、働き方改革もありまして有給の数であったり、休日の数であったり、残業何時から何時みたいなところを、しっかり会社としても社員の生活を守るためにある程度把握しないといけないっていうところもあり、勤怠ソフトの導入を検討しておりました。
勤怠ソフト導入するにあたっては、先ほど我々よりも前の方々がマネーフォワードを使っていたので、マネーフォワードと相性がいい勤怠ソフトって何だろうとなりまして、マネーフォワードの中にもマネーフォワード勤怠ってあるんですけど、ちょっと自由度が低いというか、それはそれですごい便利なんですけど、当時会社が個別に契約をしてしまってるような状態で、今のルールに沿ってなかったんです。
労務基準に沿ってないやり方をそれぞれやってしまっていたので、今みたいな綺麗なソフトだと、対応できないといけないようなこともあるんですね(笑)。
今は大丈夫なんですけど、労働基準を採用している社員が中に何人かいたり、あるいはそれがばらばらで、タッチオンタイムみたいなある程度老舗の、ちょっとブラックのやつでも行けるようなんじゃないと対応できない部分があったんですね。
マネーフォワード勤怠とタッチオンタイムでそんなに変わらないっていうのもあってマネーフォワードで全部整えたらいいんですけど、当時、整えるには今お伝えしたように条件が整ってなく、タッチオンタイムを使ったんですね。
ですが、今は今でタッチオンタイムがみんな使いやすくて、そっちをみんな使ってしまっているので、わざわざ同じコストを使って変更しなくてもいいかなと思っています。
使用方法
勤怠のチェックであったり、その管理、働いている時間を把握するために使用しています。
課題達成
とにかく計算が全部ワンクリックで出来て、ミスも少ないですし、自分自身の負担も軽減できてるっていうのと、それぞれが自分の働いてる時間とかを自分で把握しないといけない状況になっているので、セルフマネジメントみたいなところに対しても、勤怠ソフトを導入することで寄与できているのかなと思っているので、導入してすごいよかったなと思います。
工数も実際減ってますし、1時間も無くても給与連携までできるぐらいのシステムになっているので、そういう意味では工数カットには繋がってますね。
良かった点
ミスが減り、負担が軽減したということと、自分の働いている時間を把握しないといけない状態になっているので、セルフマネジメントに対して、勤怠ソフトを導入することで寄与できている点が良かったです。
悪かった点
特にないです。
ツールやSaaSを最大限に発揮できる人材が大切
今回のインタビューでは、ITリテラシーの障壁を強く感じました。
クラウド型の安価で導入をコストを抑えることができるツールが多くなってきています。導入を検討する企業もすごい勢いで拡大をしています。
コロナウィルスの影響もあり、世の中ではさらに企業のDX化促進がうたわれています。しかしながら、実際に導入しようとなった際に、ITに弱い人材というのも間違いなく存在します。
今までの会計業務は、もらった領収書から数字を打つだけの業務であった方も必ずいるはずです。そんな方々がいきなりITツールを使って行うことの難しさも十分にあるのかなと思います。
また、特に問題となるのは導入時です。導入を決断しても、うまくツールを活用できていない企業や、せっかくの連携システムを活用できない企業はたくさんあるというのが現状です。
しかしながら、エヌ・アイ・ブランディングさんでは、使ったことがある人材を配置することで、スムーズな導入を実現していました。
このようにツール経験者を思い切って起用するという試みも一つの手段だなと感じました。
参考になる点がたくさんありましたので、DX化に取り組もうと思っている方はぜひ今回の記事を参考に導入を考えてみてはいかがでしょうか?