HR Tech領域を中心に数々のサービスを生み出しているネオキャリアグループ。そんなネオキャリアグループの一つである株式会社ULTRAにインタビューを行いました。
小規模会社におけるツール選定や、他サービスと連携しての使い方などを詳しく取材させていただきました。
インタビュー先情報
会社情報
- 株式会社ULTRA
- HP:https://ultra-pay.co.jp/company/
ネオキャリアグループの株式会社ULTRA。「働く」を、もっと「おかね」につなげる世界を実現することを掲げ、誰でもすぐに発行できるプリペイドカード式Visaカード「ultra payカード」を提供。
インタビュー者:竹谷 直彦 様
外資系保険会社からキャリアをスタートし、外資系広告代理店で勤め、2007年からは三井物産とAOLのJVにて日本と中国でのアドテクノロジー事業の立ち上げを経験した。
その後FinTechスタートアップの株式会社カンム取締役を経て、ネオキャリアグループに参加した。アドテク、FinTech、そしてHR Tech x FinTechと、マーケットの初期段階の事業をゼロから立ち上げ軌道に乗せてきた事業立ち上げのプロフェッショナル。
サービスの紹介「ultra payカード」
アプリから無料で誰でも直ぐに作れるVisaのプリペイドカードを提供するサービス「ultra pay カード」。
アプリをインストールすると、即時にカードが発行され、このカードを使うとインターネットでものを買入したり、 ゲームに課金したり等、オンライン上で使えるVisaカードとして利用できます。
そして、アプリからプラスティックカードの発行が可能で、落としてもアプリからすぐに一時停止もでき、クレジットカード以上に気軽にポケットに入れてコンビニなどの街のお店で使うことができます。
世の中にはお金をチャージして利用するプリペイドのサービスは複数ありますが、このサービスのユニークな点はグループ会社が持っている他のツールと連携できる点です。
現在は、給与をプリペイドカードのデジタルマネーで支払うことができませんが、業務委託で働く人の報酬については、「enigma pay」 という報酬の前払いサービスと連携して、業務委託費の前払い報酬をプリペイドカードにチャージして利用することが可能です。
通常のクレジットカードと異なり、プリペイドカードのため入れた金額分しか使えないサービスです。そのため、年収がいくらあるのかや、銀行口座がどこなのかという質問が一切なく、高校生でも利用できる便利なサービスです。
昨年緊急事態宣言が発令された4月にサービスリリースし、現在までに10万ユーザーが使用しています。
今後法律が変化にもよりますが、給与領域の前払いサービス、給与デジタルマネー払いへの対応、経費精算等の出金、自治体の給付金サービスなどのチャージにも対応できるように準備を進めているそうので、今後も目の離せないサービスです。
導入事例
勤怠管理との連携で、リモートワークやテレワークでも快適な管理を実現(jinjer)
導入背景
グループ会社であるネオキャリアが勤怠管理システムを自社サービスとして提供しているため、弊社も使用してます。
使用方法
今後、勤怠管理システムを使用した経費の精算ができるように連携していく予定です。例えば、ultra payとネオキャリア社が提供する経費精算システムを連携し、グループ会社の従業員の経費精算をultra payにチャージできることを進めています。
課題達成
さまざまな状況下でも勤怠管理がしやすいことです。例えば会社でも、出先でも、在宅勤務でも場所を問わずアクセスができるため非常に管理しやすくなりました。更に、承認がとてもしやすいので業務がスムーズになった点です。
良かった点
自社のサービスなので、管理がとてもしやすいところです。
悪かった点
経費精算ができるようになるとシームレスに連携されるようになります。
社内の情報をオープンにすると同時にリモートワーク下でも個人の業務共有も管理(esa)
導入背景
esaは前職の途中から使っていて、メンバー間のコミュニケーションがしやすかった側面があったため、会社設立時から導入してました。
使用方法
基本的には全ての情報をesaに入れるようにしています。
会社の経営に関わるところである事業計画や、顧客からの意見、マーケティング施策の内容と数字の共有、ブランディングに基づくデザインの制作方針や実際に作ったデザイン等すべての情報がそこにあり、社内メンバーは誰でもアクセスできるため、余計な確認作業が減るというメリットを感じています。
課題達成
基本的には隠しごとのないオープンな組織にしたいと思って導入したため、課題はもともとありませんでしたが、そこが非常に実現できているために今では不可欠なツールとなっています。
良かった点
少人数で各々の業務を行っているため、自分しか関わらない部分と他人の業務を知らないとできない部分があります。
esaを自分で書くことで共有されるため、担当が自分の責任でesaを書き、他人が書いたものを見て足りない情報があれば、これは書いてくださいという依頼を相手先に出せる関係を築けてることが良かった点です。
悪かった点
量が相当溜まってきてるので、常にesa内の管理をする責任者を決めて階層の見直しや、項目の見直しをしています
FAQや、問い合わせ、アクセス状況を一つに集約し業務に活用(Zendesk)
導入背景
自社内でカスタマーサポートをしており、そのため安価で管理しやすいツールを自社に導入する必要があったという背景があります。
使用方法
FAQやカスタマーサポートの情報に関してはZendeskに全て集約をしています。また、ユーザーからの問い合わせは電話も含めて全てZendeskに集約しています。
課題達成
ユーザーからの問い合わせが集約されているため、問い合わせ内容の分析や、FAQのアクセス数を可視化しています。
そしてこれらのデータを基に、逆に問い合わせを予測して、事前に解答例を準備することで今後の対応がスムーズになります。
良かった点
コストが安価で、ユーザーの数も制限して使えるため、我々みたいな小さい体制の中でカスタマーサービスを動かさなければならない会社には非常に使い勝手がいいと思ってます。
悪かった点
契約タイプによってはできること・できないことがある点です。例えば、管理者でしかできないという点が、少し煩雑なところではあるので、管理が少し大変というところです。
直感的に使えるのと、利用経験者が多いからこそ共通認識が簡単(Adjust)
導入背景
Adjustは、マーケティングパフォーマンスを全て分析してくれます。投資するメディアや出向先を管理しなければならないため、比較的安く管理できる点と、Google Cloud Storageと連携して数値が管理できる点がAdjustを導入した理由です。
使用方法
Google Analyticsと連携して、全てのマーケティング施策のパフォーマンス確認、自社内のサイトのアクセス状況、ユーザーからの問い合わせや、FAQアクセス状況、実際にカードが利用されたか否かを全て紐づけています。
一元的にどこから入ってきてどの程度のリターンがあったのかを管理できるため、必要不可欠ツールになってます。
課題達成
カード発行をゴールとしてしまうと、メディアとしてどういう効果があったのか最後まで測れず、実際にカードが利用されたか、いくら利用されたか等、そこまで追いかけられるところが分析ツールとしてはうまく活用できてるところだと思っています。
良かった点
直感的に使えるツールであることが良い点です。また、一般的によく使われてるほど使いやすく設計されたいるため、共通認識を基にデータ分析の構築がしやすかった点です。
悪かった点
まだ機能の全てを使いこなしているわけではないのですが、もう少しトランザクション数が増やせるようなマーケティング施策が増えていかないと、分析ツールとしてはまだ使いきれてないと感じています。
導入背景
Adjustも含めて、取れる情報を我々の中で可視化するという課題があり、そのために必要なダッシュボードとして導入しました。
使用方法
数字が取れるもの全てと連携し、必要な数値は全員で管理できる形にしているので、都度活用しています。
課題達成
データ分析チームしかり、開発メンバーもしかり、マーケメンバーもしかり、カスタマーサポートもしかりと、やっぱり今我々の事業全体はどのように推移してるか、どんな反映数なのか、どの程度の利用金額なのかを、一つのプラットフォームで複数の数字を同じタイミングで見れていることが非常に良かった点かなと思ってます。
良かった点
一つのプラットフォームで複数の数字を同じタイミングで見れるようになった点。
悪かった点
まだ自社内だけでの利用に過ぎない状態なので、今後はグループの中で持っている他のサービスとデータのプラットフォームを同一化し、連携したユーザ属性やマーケティングの数値が取れるように、使いこなすことが課題だと思ってます。
対面で会議ができないときの最適なWeb会議ツール(Calling)
導入背景
社内外の全ての対面コミュニケーションにおいて、有事の際のみならず日常でオンライン商談や面接ができるツールとして使用しています。こちらもネオキャリアが提供しているサービスであるため、弊社でも導入しています。
使用方法
コロナ禍の中で増えた社内外の定期的なミーティングや、提携先の事業者との商談などで、日常的に活用しています。
課題達成
自社サービスとしてこうしたツールがあることにより、事業者とコミュニケーションをとりたい時にツールを提案しやすく、URLをワンクリックするだけでオンライン会議ができるため、双方にとって便利だと感じています。
良かった点
ミーティングがオンライン上でスムーズにできるようになった点と、自社の開発力や方向性を伝えられる点で良いと思っています。
悪かった点
特にないです。
キャンペーンや応募に最適なフォームツール(SurveyMonkey)
導入背景
ユーザー向けのキャンペーン企画を進める際に、アンケートの実施でGoogle Formではどうしてもセキュリティの観点で問題があるため、外部のツールを活用する必要がありました
使用方法
ユーザーとのコミュニケーションやキャンペーン企画の準備にあたって活用しています。
課題達成
アンケートやフォームが作りやすいため、そこの構築時間が短くなったと感じています。
良かった点
ユーザーに対して、見た目がカスタマイズされていて、シンプルで見やすいツールです。回答のしやすさや回答率は上がってると感じています。
悪かった点
有料なものなので、課題感をもって多く使わないと無駄が出てしまうところです。
気になった点についてご質問させて頂きました!
Q.少人数だからこその障壁はあったのか?
導入するにあたって、ユーザー単位でコストがかかる場合は高くなってしまうケースも出てくるかもしれません。
またみんなで合意して導入しないと少人数のため使わないメンバーがいると無駄になってしまうため、 みんなが使うものを導入する際の障壁はあると思います。
最後にDX化に取り組もうと考えている方にアドバイスを一言お願いします!
必要な時に入れる方が、特にスタートアップや小さい会社はいいと思います。
最初から全部100%のものを導入しようとすると、どうしても無駄がでたり、誰かが使わなくなったりすることをきっかけに、組織の問題にもなってくるケースがあるため、必要なものがあったら必要なものを少しずつ導入していけば良いと思ってます。
ツールの導入で一番大切なこと
クラウド型の安価なSaaSなどがたくさん生まれたことにより、ツールの導入をする企業が増えてきています。今回のインタビューでも言えることですが、一番大切なことはツールに対する共通認識だとインタビューを通じて感じています。
例えば導入背景では、このツールを選択した納得いくような理由がないと、意外と人は新しいことに対して思うように動きません。また、それと同時に、ツールを使うにあたっての共通認識が必要なのかなと感じます。
社内で、使い方の認識を決めずに使っていると逆に使いづらかったり、連携がうまく行かなかったりと問題が生じると思います。
ですので、社内における共通認識がとても大切なのかなと思います。また、これは今回登場したesaのように、社内で業務内容を共有できる社内Wikiなどが大切なのだなと感じました。
ぜひ、社内の共通認識を高めるためにも導入することを検討してみてはいかがでしょうか?
もちろん業務改善ができるツールも思い切って導入してみることをお勧めします。
この記事に登場したSaaS
jinjer
jinjerは、国内初の人事領域のデータを横断的にマネジメントできるプラットフォームです。人事データを「数値化」「可視化」することで、人事戦略の最適解を導き、人事業務のパフォーマンス向上に貢献します。
esa
esaは情報を育てるという視点で作られた、チームのための情報共有サービスです。社内Wikiとしての活用や、情報共有として活用できます。
Zendesk
テクノロジーの進化やビジネスの成長、経営環境の変化に合わせて、常に柔軟な対応が求められるカスタマーサービス。Zendeskでコミュニケーションを可視化し、お客様の期待値を超える体験を実現しています。
Adjust
Adjustはモバイル広告の計測プラットフォーム。マーケティング活動をAdjustの管理画面で一括管理し、必要な情報やデータを得られます。
Re:dash
Re:dashは、データアクセスを民主化するためのツールを提供することで、組織のデータ駆動力を高めることを支援します。あらゆるデータソースに接続し、データを簡単に可視化して共有することができます。
Calling
Callingは、Web会議システム・オンライン商談ツールなどを統合したクラウドコミュニケーションツールです。テレワーク・リモートワークの推進や生産性向上、業務改善をスピーディーに実現してくれます。
SurveyMonkey
SurveyMonkeyはオンラインアンケートツールです。オンライン上でのアンケートや、応募フォーム作成に最適なツールです。